補足 地域別総人口データ (続き)

6. アメリカ、オセアニア
 インカ帝国では、人口を数えて縄の結び目で記録した、ということは知られているが、それが実際に何人だったのか、ということはわかっていない。1492年からのスペイン人のアメリカ大陸侵略前に、どのくらいの人口があったかは議論となっており、1500年の南北アメリカ大陸人口推計値は、1400万人(McEvedy and Jones1978)、4100~4800万人(Clark1967、Durand1977、Biraben1979)、7200万人(S.F.Cook, D.N.Cookの推計値より計算)と、推計により大きな隔たりがあるが、いずれも記録されたデータに基づいたものではない。
 その後の人口は、16~17世紀においては、スペイン植民地における徴税記録、教区記録などがデータソースとして存在している。さらに、奴隷貿易の記録は、送り出し側アフリカと受入側のアメリカに関する帳簿が残っており、そのデータにより奴隷の数が計算されている。
 センサスは、早くは1666年からカナダのフランス移民により始められ、18世紀には中米を除くほとんどの南北アメリカの国、地域で行われるようになる。「歴史がない」アメリカ新大陸におけるセンサスは本国より早く始まった、ともいえよう。
 オセアニアについては、アボリジニの人口に関しては20世紀後半にならないときちんとした統計がとられなかったほどである。オーストラリア、ニュージーランドの移入白人については、それぞれ1828年、1851年にセンサスが始まっている。

補足-表15 南北アメリカ・オセアニアにおける「近代的」人口センサス開始年


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